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2004.07.29

スーパーじいちゃん大車輪

小柄で細身のおじいちゃんが鉄棒にぶら下がるや、いきなり大車輪を始める。CMはカードで買い物する際の特典「永久不滅ポイント」をPRするため「元気で何かを継続している」お年寄りを探しているうち、静岡県引佐町で「スーパーじいちゃん」として有名な野末実さん(68)に白羽の矢が立った。

 野末さんが大車輪を始めたのは中学3年の卒業間際。一緒にやった友達の一人は成功したが、野末さんはけ上がりまでで、卒業式に間に合わなかった。悔しくて、卒業後も家の農業の手伝いを終えた夕方、学校の校庭の鉄棒で練習を繰り返した。一ヵ月後、だれも見ていないなか初めて大車輪を成功させた。
 以来、52年。地元のセメント工場で働き、夜勤当番や雨の日以外、自宅そばの小学校の校庭の鉄棒で毎晩15回ほど回り続けた。単純計算で延べ30万回ほどになる。鉄棒にぶら下がると自分の体調がわかるようになり、軽い頭痛は回っているうちに飛んでしまうようになった。
 2年前、小学校の校長から「子どもたちと交流会をやってくれませんか」と声をかけられた。小学年生と登り棒や50メートル走をやって負けたことがない。それで「スーパーじいちゃん」と呼ばれるようになり、「あんな年寄りになりたい」と話す3年生もいる。今年9月に「スーパーじいちゃんに挑戦する会」がある。
「CMのギャラ」の一部として、野末さんの自宅庭に「マイ鉄棒」が設置された。4歳の孫は「じじいは上でぐるぐる。ぼくはブランコ」が口癖だ。鉄棒にお手製のブランコを取り付けて揺れるのである。
「いつか二人で並んで大車輪をするのが夢です」
 そのためにはまだ10年あまり回り続けなければならないが、本人はその気である。その理由も簡潔だった。
「日記をはじめ何も長続きさせんかった。これしかないからやめるにやめられんのです」
 現在流れているCMは15秒。アテネ五輪期間中、30秒バージョンが流れるそうだ。

大車輪回り続けて52年30万回 CMで注目「スーパーじいちゃん」/『週刊朝日2004.8.6』

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