一日一万歩
立花 運動すると、老化のもとになる活性酸素が出て、良くない面もあるんじゃないですか。
大内 いや、程度の問題ですよ。私のところでは、一日三〇分間、若干きついと感じるくらいの運動をジムで週に六日やっていただきます。
白澤 私も介護予防の指導をおこなっていますが、一、二、三、四とゆっくり時間をかけて両腕を広げ、同じように一、二、三、四で両腕を戻すという程度の運動を一回九〇分。これを週二回ですが、三ヶ月続けると十分効果があらわれます。
玄侑 昔は農家はもちろんのこと商売をする方たちも「働くこと」が即ち「動くこと」だったのが、今は大部分の方の労働は即ちデスクワークでしょう。運動以前に歩かなくなってますよね。
白澤 東京都老人総合研究所の青柳幸利室長らの研究グループは、群馬県中之条町というところで二千人ぐらいの高齢者の方に「加速度計」という万歩計の進化版みたいなものを持っていただき、追跡調査をしているんですが、一日平均一万歩以上歩く人にメタボ患者はほとんどいなかったですね。しかし、一方四〇〇〇歩に届かない生活をしている人も結構いた。この人たちの中に「閉じこもり」がひそんでいるので、これはちょっと問題ですね。
玄侑 私の寺は福島県の三春にありますが、田舎の人たちは体を動かすと思っていると大間違いですよね。地方は車社会だからかえって歩きません。
白澤 まさにそうなんです。都会人のほうが歩いているんですよ。通勤のために駅で階段の昇り降りをするだけでも全然ちがう。段差を超えるという動きは、長寿のためには非常に大事なんです。
立花隆×茂木健一郎×玄侑宗久(作家・臨済宗福聚寺副住職)白澤卓二(順天堂大学加齢制御医学講座教授)×大内尉義(東京大学加齢医学講座教授)/不老革命 「寿命100歳社会」を知の巨人たちが論じ尽くす―アンチエイジングの衝撃『文藝春秋2008・2』
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