重粒子線の特徴
「ここ数年における放射線治療の進歩は著しく、正確な診断とがんの測定に基づき、コンピューター上で治療計画を作成することで、高エネルギー放射線を『がん』にほぼ100%計算どおり集中させることが可能になってきました。特に重粒子線治療は、体への負担が軽く、がんの再発率もケタ違いに低いことは医学的な事実です」
と語るのは、放射線医学総合研究所(千葉県=以下、放医研)重粒子医科学センター病院の加藤博敏第一治療室長だ。
重粒子線治療とは、核物理学の理論をがん医療に応用したものである。高エネルギー放射線の一種である炭素イオン線(重粒子線)を標的に絞って狙い撃ち、がん細胞を死滅させる。最大の特徴は、従来のX線などに比べて、「殺細胞効果」が三倍も高く、しかも、痛くも熱くもない点だ。
重粒子線は皮膚表面など体の浅い部位では線量(放射線が体に与えるエネルギー)が低く、一定の深さで急に破壊力が高まるピークを迎えると、それ以上深部に進まないという特別な性質を有している。このピークをがんの形に合わせて調節しながら、標的だけを狙い撃つことで、より多くの線量を集中して浴びせることが可能になる。その結果、がん細胞が死に絶え、再発しにくいのである。
吉原清児(医療ジャーナリスト)/ドキュメント奇跡の病院 理想の医師②がん消滅 重粒子線治療の凄さ『文藝春秋2008・8』
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